2023-05-12

012 外見だけでは?
1967・06 オスロ・ノルウェー

NY ケネディ空港を後にして機上の人となる

アメリカ最大の都市NYの夜景 光の塊となってキラキラ眩しかった 

高度を上げて 夕闇の迫る雲海に向かって滑っていく

「モーニング!」 笑顔のスッチーからオシボリを渡されて目が覚めた

食欲はなかったが体力が落ちるからと 機内食を胃袋の放り込む

小窓からヨーロッパが見えてきた

空港を後にして 北欧ノルウェーの首都に足を向ける

憂鬱な季節を乗り越えた6月は 夏至祭もあり心なしか華やいでいた

1年でこれからの3か月は 

一番気持ちが良い季節だと人々が言うのも納得できる

初夏を迎え 若葉が風と囁きあっているようだ

オスロは高緯度にありながら メキシコ暖流のお陰で

他の北欧諸国と違い過ごしやすかった

古い街並みはメルヘンの世界に飛び込んでいく 感覚に襲われる

手に触れる城壁は1200年前のもの こんな感覚は初体験で新鮮

現在と過去がまさに同居しているようなもの

丘の上のYH(ユースホステル)に着いて手続きを済ませ

ホッとしているとペアレントが

「日本人女性が来ているよ」と教えてくれた

急いでホールに行くと 彼女はギターの弾き語りをしていた

歌い終えたので

「うまいねー」

と日本語で褒めると

「サンキュー」

と帰ってきた 

彼女は日系アメリカ人で日本語は少ししか話せないと

照れながら言い訳をしていた。

外見だけで判断していけない実例だ

どう見ても普通の日本人にしか見えないが 英語はむっちゃ上手かった

納得できない感覚の中で 眠りに落ちていった