ハンメルフェストからトロムソまで
刻々と変化してゆく 珍しい景色に目が離せない
迫りくるV字型の海峡を抜けていく
島を繋ぐ大きな橋を抜けると 港が見えてきた
船が止まると船員が 生ごみを捨てる
カモメがわっと集まってくる
ジグでキャスティングしている人がいる
こんな所でと思っていると 結構大物が釣れる
汽笛が鳴り 余韻を残して出港 また次の港を目指す
客船は滑るように運んでゆく 縦揺れも横揺れもない
時々他船とすれ違うと引き波が起きて 少し揺れる
船に乗っていることに気が付く
夢を見ている 静寂な世界
島々に寄港 人々と荷物を吐き出して
人々と荷物を吸いこむことを繰り返し
海峡を繋ぐでっかい橋を抜けと トロムソがあった
空は明るいので夕方とは実感がわかない
ここでジャック・Wと行動を別にする
住所交換をして またね!
ちょっぴり寂しげな笑顔で別れを告げる
手持ちの金も寂しくなってきた
港を後にしてストックホルムを目指す
途中 スンツヴァルのYHで体を休める
北に向かうより 南へのヒッチハイクは楽だった
旅行者もトラックも大都会を目指すから
スットクホルムはもう慣れた街になっていた
色々あったから・・・
食事は例の料理学校レストランを利用した
いかにもスウェーデン女性らしい教師も
覚えていて 愛想よく笑顔で迎えてくれた
夕食を堪能して その足でさらに南下
クリスチャンスタード・スウェーデンに向かう
交通量は格段に多いので ヒッチハイクは比較的うまくいった
テクの学習効果はあった
辺境の地で 腕を磨いただけのことはある
事前情報では 大学の先輩が設計事務所に勤めているらしい
街について まだ見ぬ先輩に電話
日本から連絡が入っていたので すぐ理解してくれた
指定されたレストランで コーヒーをすすりながら待つこと2時間
東洋人が笑顔でやってきた
初めまして! から始まり旅の経緯を伝える
「色々な人が寄ってくれるが 君みたいな人は初めて・・・」
無鉄砲さに 驚きと賞賛をいただいた
福祉国家で有名であったスウェーデン 税金を聞いてびっくり
「所長は給料の90%近く支払っているけど 別荘もボートも持っている」
税金も給料も凄い その分老後は楽と言っていた
その夜は彼のアパートに泊まる
「この国に骨を埋める 日本に帰るつもりはない」
先輩の覚悟が忘れられない
一緒に家を出て お礼を言って別れた
あと少しで コペンハーゲン・デンマークだ
ヒッチハイクにも気合が入る
ヘルシングボリでスウェーデンを離れ エーレ海峡をフェリーで渡り
ウイリアム・シェクスピアの悲劇「ハムレット」の舞台となったお城のある
ヘルシンゲルに入る
ここは 第7の国デンマークであった
財布の軽さが気になって仕方がない
旅を中断して帰国するか 行けるところまで行くか
決断の時間は迫っていた
冒険とロマンを求め続ける旅
本当の意味を知ることになる