2023-05-12

005 抓る勘違い女
NY・アメリカ

BOSTONからNYへ

ラッキーな展開で 下町のアパートに住むことになった

これも  「何とかなる」 という生来の楽天家哲学? 

「足と笑顔と図々しさ」で生きていける

変な自信があった

パーティ会場は2ブロック先

レンガ造りの古めかしいアパートの3階にあった

出来立てほやほやの友人に誘われるままついていく

彼はアメリカ事情を手短にレクチャーしてくれた

その情報のお陰で NY生活を何倍も楽しくすることができた

階段をのぼりチャイムを鳴らすと 笑顔のホストが迎えてくれた

手土産の赤ワインとウイスキーを渡し 会場に入る

かなりの人がすでに盛り上がっていて 一瞬で取り込まれていった

《どこの馬の骨?・・・》

とみんなが躊躇するのを先読みして

中西君が簡単な背景を伝え みんなに紹介してくれた

大学で建築を学び 設計事務所で3年修業し

自分探しの旅に出てきたという背景は、みんなの共感を得ていった

二人連れの女性たちを見つけ 紹介してくれた

彼女らはインドと日本のハーフ 神戸に生まれ育ち 姉は国連に努めていた

妹は姉のところに遊びに来て半年になるという

何より嬉しいのは英訳なしで話せること

同じ国連勤めで姉のボーイフレンドがやってきて紹介してくれた

自然と妹と一緒に行動する羽目になった

中西君から聞いた姉の話は辛いものがあった

ヒンズー教徒の父親は 回教徒のボーイフレンドを認めない

インド・パキスタン問題がカップルまで引きずっているとは・・・

日本では考えられない現実を突きつけられ言葉がなかった

宗教対立がこの世の争いの一端であることは間違いない

改めて、日本は平和な国だと実感する

中西君が小声で

「妹には変な癖があるから気をつけてね」

意味深な言葉を残して ガールフレンドの元へ戻っていた

「???」

妹は無口なタイプで もっぱら秘書的な役回りをして助けてくれた

立食パーティの醍醐味を初めて知り

人脈づくりには欠かせないアイテムとなった 

紹介者によってその後の人生に 影響を与えることも学んだ

友人たちの中西君への信頼は相当なもので その後1週間のNY滞在で

いかに生きるべきかを学ばせていただいた

チクッ! 背中に痛みを感じたのは

女性たちに囲まれ 日本の話を得意げに話している時だった

背中に妹の手があった  彼女が抓っていたのだ

「なんで?」 意味が解らなかった

その後は少し距離をおいても すれ違いざまに やられる

「俺はお前のボーイフレンドじゃないよ」

相当嫉妬心の強い女であった

話しても収まらない

中西君を捕まえ 何とかしてくれと懇願した

実は彼も被害者の一人であった

少し親しくなると 私のもの! と勘違いして離れない

姉が注意して収まったかに見えたが すぐに寄ってくる

楽しかったNY最初の夜は終わり

アパートに着いたときは午前2時を回っていた

翌朝 シャワーを浴びようとTシャツを脱ぎ 鏡を見て

えっ! 何 これ?

背中いっぱいの青いものは何だろう???

見事な数の青い斑点を見て

あの勘違い女を思い出した