2023-05-12

001 謎のトップレス・Bar
1967・04 サンフランシスコ・アメリカ

トップレスバーなるものが流行りだしていたころ

僕はサンフランシスコにいた

久しぶりのビールにほろ酔いで 風もご機嫌だった

シルクハットのサンドイッチマンから

「トップレス!」がやたらと目に付くチラシを貰い

興味津々と期待を膨らませて歩いていく

しばらく行くと

その店から出てきた 客らしき男はまことに奇妙な顔をしていて

すれ違いざまに 「くそ!」と汚い言葉を吐き出していた

入り口で約束の入場料15ドルを払い

古臭いドアを開け、薄暗い階段を下りていく

タバコとお酒と体臭の入り混じったカオスがあった

暫くすると熱気交じりの喧騒に染み込んでいく

空いている席を見つけ 年代物のカウンターに腰を落ち着ける

バーテンに「ギムレット」を注文

上半身裸の短パン髭男のバーテンが 大げさな仕草でシェイカーを振る

グラスに入れ 男は数分で消えていった

よくよく見ると 店員は皆上半身裸短パン髭男だった

ショーが始まるわけでもなく 2時間ほどで退席した

何がトップレスバーだ!とがっかりしたが 

入り口ですれ違った男を思い出した

そして、「くそ!」の意味も分かった

確かにトップレスバーだった 看板に偽りなし! 

心のどこかに欲があると

自分の都合の良いように思い込んでしまうものだ

世界には学ぶべきことがいっぱいあると

改めて痛感した