2023-05-12

025 ソルヴェイグの愛
1978・10 コペンハーゲン・デンマーク

「世界のどこかで また逢いましょう・・・」

耳から離れない ギャルダ・Pの最後の言葉

言えばお互いに辛くなるから・・・

言いたいこといっぱいあったのに 胸に秘め言わなかった

帰国後 仕事に忙殺していく毎日が続く

建築士の国家資格を取得 技術者経営者としての修業

父の唐突な死出の旅立ち 後継ぎとしてゼロからの出発

気が付けば11年経っていた頃 

大型プロジェクトの一環として 北欧視察するチャンスが来た

1978年10月末 

太陽は沈みかけている15時 オスロ・ノルウェー空港に降り立った

逸る心を抑えて 手早く目当ての視察を終え

翌日 あれこれ考えても言い訳しかならない

兎に角 逢いたい想いを胸に

ストックホルム・スウェーデン行きの列車に乗りこむ

1967年の記憶が蘇る 河を縫うように走る列車

手を振ると手を振り返す人々もいた

チャップマン号も停泊していた

料理学校レストランを訪れるが経営者は変わっていた

視察はしっかりしてコペンに向かう

ABCレストランは存在していたが店の業態は替わって

キャフェテリアになっていた

記憶を伝って迷いながら 彼女のアパートに向かう

あるはずの場所に 別の建物が立っていた

チボリ公園や旧市街に ギャルダ・Pの面影を追って彷徨うが

もうギャルダ・Pはいなかった

自分の幸せより相手の幸せを優先する 本当の愛のカタチを教えてくれた

フリー・セックスではない セックス・フリー(恋は自由)と言って窘められたことも

放浪の旅に出たペール・ギュントを待ち続け

年老いて戻って来た彼に子守唄をうたう ソルベェイグの深い愛を

重ねている自分がいた